こんにちは 越谷の税理士渡邉広恵です。
「自宅の持ち分をあげるから、代わりに自宅のローン残債を負担して欲しい」
財産をあげる代わりに、債務を負担することが条件。これは“負担付贈与”といわれる贈与になります。
このような贈与があった場合のポイント3つ
① 誰が申告をするのか?
・財産をあげた人は、「所得税の譲渡所得」の申告が必要
・財産をもらった人は、「贈与税」の申告が必要
単なる財産の贈与なら、財産をもらった人が「贈与税」の申告をすればよいのですが、殊に負担付贈与の場合には、財産をあげた人にも税金がかかるかもしれない!ということに注意しなければなりません。
お父さんが、時価2,000万円(購入価格は3,000万円)の自宅(土地建物)を息子に贈与する代わりに、息子はローンの残債800万円を負担することになりました。
税金計算上では、お父さんは自宅を800万円で譲渡し、譲渡代金800万円で債務を返済したと考えます。だから、お父さんは800万円の譲渡所得の申告をすることになります。
ただし、自宅を買った時の値段が3,000万円なので、
800万-3,000万=△2,200万円の赤字・・・申告は不要になります。もし黒字だったら、確定申告をしなければなりませんね。
一方息子は、時価2,000万円-債務800万円=1,200万円の贈与を受けたものとして贈与税の申告をすることになります。
② 贈与財産の価額について
ローンを引き継がない通常の贈与の場合は、贈与財産の価額は “相続税評価額” を使いますが、 負担付贈与の場合は、贈与財産の価額は “時価” を使います。
時価2,000万円の自宅も、相続税評価額に換算したら、金額がもっと低くなっていることが考えられます。同じ自宅の贈与なのに、ローン付きかどうかで申告に使う金額が変わるのです。
③ 相続時精算課税の検討
負担付贈与も相続時精算課税を適用することができます。でも一度この制度を利用したら、それ以後の贈与もこの制度を利用しなければならない、という縛りがあります。
ですから、将来相続がおきた時のことも考えてこの制度の利用は検討しなければなりませんね。
写真は、今事務所に飾っているお花です。竹を割ったような陶器に胡蝶蘭が植えられていて、かぐや姫みたい。商品名も『かぐや』なんですよ。