タイムリミットで考える自宅の売り時

こんにちは 越谷の税理士渡邉広恵です。

介護が必要になり、親が老人ホームに入居することになったり、または親を自分の自宅に呼びよせるといったケースは今後も増え続きそうです。

住まなくなってしまった自宅は、売ってしまう? 空き家のまましばらく放っておく?

自宅を売る場合は、新しい家に買い替えることが普通です。でも介護が必要になった場合のように、新しい家に買い替える必要がないまま、自宅が空き家になってしまったので・・・ということも考えられます。

自宅を売ったとき、その自宅が買った金額よりも高く売れれば、税金の申告が必要になります。ただし、自宅の場合には、譲渡益から3000万円を控除できる特例や、10年超所有の自宅なら通常の税率よりも安い税率であるなどの税金面の優遇があるので、多額な税金を心配する必要はありません。

とはいえ、いつまでに売らなければこの優遇を受けられない、という期限があるのです。

かつて住んでいた自宅の場合には「住まなくなった日から3年目の年の12月31日まで」に売ること。

例えば、今日(2015年9月30日)引っ越したとすると、2018年12月31日までに自宅を売れば、税金面の優遇が受けられることになります。

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住まなくなった親の自宅、空き家のままにしておき相続後に売却した場合、売却代金を相続人の間で分けることになります。この場合には、相続人自身が住んでいた自宅ではないので、3000万円の特別控除や軽減税率といった優遇が使えません。

(ただし、相続により取得した自宅を一定の期間内に売却した場合、払った相続税の一部を“取得費”とみなすことで税金の優遇が受けられる制度はあります。)

相続が発生する前に売ってしまえば、上記の優遇が受けられますが、売却代金は相続財産に含まれます。不動産のまま相続したほうが、相続財産としては低く抑えられるかもしれません。

さらに空き家のケースでも小規模宅地等の特例が使えるか・使えないかなど、税金面だけでも、「こうすれば一番良い!」といった方法は、その家庭ごとに異なるので、一概に結論付けできないところです。

また住まなくなってしまった親の自宅は、親だけでなく子にとっても思い出のある家ですから、売る・売らないは、簡単に結論を出せるものではありません。

ただ税金面では、“いつまでに売れば、優遇制度が受けられるのか” ということを知っておいて欲しいです。

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